注文住宅に興味がありながらも、何から始めればよいのかわからず困っている人もいるのではないでしょうか。
注文住宅を建てる際の大まかな流れは、まず住宅のイメージと予算を決めて、次にハウスメーカーを探します。また、住宅ローンを組む際には、注文住宅ならではの注意点があるのです。
この記事では、注文住宅を建てる際の流れと完成までの期間、注文住宅をオーダーする前に決めることについて解説します。
一連の流れやポイントを理解すると明確なプランを作成できるようになるので、ぜひ参考にしてください。
注文住宅を建てる際の流れ
注文住宅を建てるには、住宅のイメージを作成し予算を決めることから始めます。しかし、これらについては全体像を理解してからのほうが、より具体的に検討できるようになるはずです。
したがって、まずはハウスメーカー探しから建物の引き渡しまでの流れを把握しましょう。住宅用の土地があるケースから先に解説し、次に土地を探す場合についても言及していきます。
1.ハウスメーカーの選択・土地探し
注文住宅を建てる土地がある人は、ハウスメーカー探しが最初のステップです。早い時期にハウスメーカーが決まっていれば、打ち合わせに時間をかけられるようになります。
これから土地を探す人も、まず最初にハウスメーカーを決めることをおすすめします。ハウスメーカーが土地探しを手伝ってくれたり、独自ルートで知り得た情報を教えてくれたりする可能性があるからです。
ハウスメーカーを選ぶには、モデルハウス見学や個別説明会への参加が考えられます。可能であれば、工事現場を見学させてもらうとよいでしょう。また、注文住宅を建てる際には担当者との打ち合わせが欠かせないため、相談しやすい担当者を探すことも重要となります。
土地を探す場合は、まずネットで大まかな相場をチェックしてください。そして不動産会社に連絡を取り、希望の条件を伝えて、土地を探してもらいましょう。土地選びに時間をかけられる場合は、より希望に近い土地が売りに出たら連絡をもらうのも一案です。
2.間取りと見積もりの打ち合わせ
ハウスメーカーを数社に絞ったら、間取り図や見積もりの概算を作成してもらって、それらを比較検討しましょう。事前に要望をリストにまとめておくと、より具体的で正確なプランが作成されます。
見積概算書の項目は、ハウスメーカーによって定義が異なります。金額のみを比べるのではなく、諸経費がどれくらい含まれているのかも比較してください。たとえばアフターサービスや保証制度が付帯すると、そのぶん割高になることがあります。
そして費用だけでなく、間取り図の企画力やデザイン力、耐震や断熱などもチェックして、ハウスメーカーを選定しましょう。
3.工事契約とプランの確定
ハウスメーカーが決定したら、本格的な工事請負契約を結ぶことになります。くれぐれも仕様や設備をしっかり確認してから契約してください。
契約にあたって手付金を請求される可能性があります。相場は建築費の10%未満が目安となっているようです。支払い後に契約をキャンセルする場合、手付金はどうなるのか事前に確認しておきましょう。
工事請負契約を結んだ後は、さらに打ち合わせを行って、プランの細部を決めます。簡易的な地盤調査を行って、地盤改良工事が必要なら費用を見積もりに含めるとよいでしょう。このタイミングで住宅ローンの事前審査への申し込みもしてください。
建築確認を自治体に申請し、許可が下りたら、住宅ローンの本審査へと移行します。
なお、契約締結後に仕様の変更をすると、追加料金を請求されたり、のちに工期が伸びる恐れがあります。とくに建築確認を申請した後の変更は、申請をやり直す羽目になったり、変更できない可能性があることも知っておいてください。
4.着工
注文住宅のプランがすべて確定し、契約も完了したら、いよいよ着工となります。
基礎工事は騒音や振動が断続的に発生するため、近隣住民とトラブルになることも決して珍しくありません。今後の付き合いにも影響するので、事前に挨拶をしておきましょう。
新築工事が開始されると業者が出入りをします。大工さんや外壁の業者、内装や配管など、さまざまな業者が関わります。現地へ出向いて進捗を確認する際には、工事の邪魔にならないよう配慮してください。
地鎮祭や安全祈願祭、上棟式を行う場合は、その旨を早めにハウスメーカーの担当者に相談しましょう。
5.建物の完成と引き渡し
注文住宅が完成すると、建築確認申請のとおりに建てられたかを市区町村が確認します。この完了検査が済むと、検査済証が発行されるでしょう。
その後に内覧会が行われ、ハウスメーカーの担当者とともに建主が建物の確認をします。図面通りの仕上がりになっているか、汚れや傷の有無、扉の立て付けなども細かくチェックして記録しましょう。
この内覧会で不具合が見つかれば修理され、そして正式な引き渡しとなります。
注文住宅が完成するまでの平均期間
注文住宅の構想が練り上がってから、建物が完成するまでの期間について解説します。一般的に、入居日の1年前から準備を始めるとよいとされており、土地を購入する場合はプラス半年が目安となるでしょう。
直下の見出し「土地あり」では、各工程の平均的な期間もお伝えするので、これから土地を探す人もぜひ参考にしてください。
土地あり
注文住宅を建てる土地がある場合、 契約から引き渡しまでの期間は8ヶ月が目安となります。仮契約を結んでからの打ち合わせで3ヶ月、着工から建物完成に4ヶ月、完成から建物の引き渡しで1ヶ月といった流れです。
ハウスメーカーを探し始めてから決定するまでの期間を考慮すると、入居日から逆算して10ヶ月から1年前くらいにスタートするとよいでしょう。
ただし敷地内にまだ建築物が残っている場合は、解体工事をしなくてはなりません。地盤改良工事が必要になる可能性もあるでしょう。それらに該当する人は、1年から1年半を見越しておいてください。
土地なし
土地探しに要する期間はまちまちですが、3ヶ月程度で見つかるケースが多いようです。したがって遅くても入居希望日の10ヶ月前、早めなら1年半前からスタートすることをおすすめします。
希望通りの土地が見つかるまで待つという選択もありますが、まずは大まかな期限を決めて土地探しを始めましょう。もしくは、いつ注文住宅を建てるか未定でも土地情報をチェックし続けていると、好条件の土地に巡り合える可能性が高まります。
注文住宅の予算編成と支払いの計画
注文住宅の予算を組むには、注文住宅にかかる費用を把握して、手持ち資金で足りなければ住宅ローンの借入も検討しなくてはなりません。
注文住宅の価格は「建物・土地にかかる費用」と「その他の費用」によって決まります。さらに、建てる地域や面積によって、大まかな費用相場があることをご存じですか。見当がつかない人は「注文住宅の価格はどう決まる?価格を抑えるポイントも解説」を参照してください。
ここからは、住宅ローンの使い方や借入シミュレーション、支払いの流れについて見ていきましょう。
住宅ローンの基礎知識
原則的に、住宅ローンの融資が実行されるタイミングは、住宅の引き渡し日です。しかし注文住宅を建てる際は、建物の完成前に代金を支払う機会があり、住宅ローンから充足することはできません。
この時間差を埋めるのが、つなぎ融資です。住宅の引き渡し前に請求される代金は、つなぎ融資によって支払うことができます。つなぎ融資の返済は、住宅ローンの融資が実行されたときに一括で行い、それまでは利息のみ支払うのが一般的です。
注文住宅の予算の上限は、自己資金や援助で用意できる金額と、借入できる金額の合計となるでしょう。現在の収入で借りられる金額は、下記のシミュレーターでチェックすることができます。
ローンで借入できる金額は、無理なく返済できる金額とはかぎりません。将来の出費や収入減のリスクなども見越したうえで、注文住宅にかける予算を決めましょう。
支払いのスケジュール
つなぎ融資について説明した際にも触れましたが、注文住宅は建物が完成する前に費用を請求される可能性があります。工事の進行とともに3〜4回に分けて支払うのが一般的です。
ハウスメーカーによってタイミングや金額は異なりますが、大まかな流れやスケジュールは以下の表を参考にしてください。